「あれでしょ?
今の私、庶務課で浮いてるから。
いや、会社内で」


「え、ああ…」


篤さんは否定する事なく、頷いた。


次期社長や良からぬ噂のある篤さんの奥さんの私を、
いつの頃か、みんな避けるようになって行った。


避ける、というと言い過ぎなのかもしれないけど。


けっして、いじめられてるとか何かのハラスメントを受けているとかでもないし。


距離を置かれている、という感じかな?


私とトラブルを起こすのを恐れているのか、仕事上でも必要最低限しか同じ課の人達は私に話し掛けなくなり。


初めは気のせいかな?と思ったけど、
振り当てられる庶務の仕事も減り。


そのどれも、とても楽なものばかりで。


朝から夕方迄居て、郵便物に時々切手を貼ったり、
出張する人の為に、現地の数日間の天気を調べてその人にメールしたり。

時々、電話の応対や来客の対応。


そのどれも、以前からしていた仕事の一部なのだけども、

明らかに、他の人が無理だから、仕方なく私に振り当てられたって感じで。


毎日そんな感じで就業中暇だから、
もう開き直ってネットサーフィンを楽しんでいる。

けっこう、それも堂々と。


だけど、その状況が段々と耐えられなくなって、
妊娠を理由にもうこんな会社本当に辞めてやろう、と思っていた矢先の、辞令だった。


多分、私が他の部署に行っても、また庶務課での感じになると思ったのか、

篤さんは自らの部署に私を呼んだ。