「あの日以来、新たに人間を迎え入れた事は無いんだ」


どの日の事を指しているのだろう。


「幻ちゃんが初めて古民家の前の道を通りすがった、あの日」


よく覚えている。


「あの日から決めている事が有るんだ」


それは、朧君も。


「この女の子以外、誰一人、敷地内には入れない様にしようって」


同じだったらしい。


「心配しなくて良い。大丈夫だよ」


どうしよう。


「幻ちゃんしか居ないから」


耳が、熱い。


「ここで眠ると良い」


……気付かないで。