そんなことをぼんやりと考えていたら
「えりか、馬鹿だな」
拓哉の言葉に
はっと我にかえる。
「高田は
結婚してんだぞ?」
真面目な顔で
そう言われた。
「そんなことわかってる」
真っ直ぐな瞳が痛くて
あたしは俯く。
そう、わかってるよ。
この恋に未来はない。
進むことだってない。
思い続けるだけの
気持ちを伝えることすら出来ない
そんな恋なんだってことくらい。
だけど…
だけど。
好きだって思ってしまった。
愛しいと感じてしまった。
現に今だって
冷たくされたあとの今だって
逢いたいと思うんだよ…
こんな気持ちを
”恋”と名付けないで
どうしろというの。