「お、きたきた」
職員室の前の廊下にもたれていた拓哉が
あたしを見つけると体を起こした。
「お疲れ」
側にきた拓哉に笑いかける。
「まじ疲れた〜」
そう言って笑う拓哉の額には
まだうっすらと汗が滲んでいて
まだ更衣でないために来ている長袖のカッターとズボンを巻くり
ボタンを3つも外している姿から
部活が終わって即刻に
ここに来てくれたんだと想像できた。
「おまえな、なんつー格好してんだよ」
そんな拓哉の姿に
先生は苦笑い。
「あっついんだって!
まじ見逃して!!」
パタパタとカッターを靡かせ
服の中に風を送るしぐさでは暑さをアピールする拓哉に
「しょうがないな」
先生は肩を竦めた。
「じゃ、よろしくな!
ちゃんと送れよ?」
昇降口まで送ってくれた先生に
「まかせとけ!」
「さようなら〜」
あたしと拓哉は手を振って
帰路についた。