「失礼しまぁす…」


職員室につき

先生の机に1番近い扉をそろりと開けて

あたしは中を覗き込む。



…あれ?

先生、いない??



扉から中を見渡した限り

高田先生の姿はなくて。


脱力した自分に気付き

それほどに逢いたかったんだと

改めて感じて恥ずかしくなった。



…外で待ってようかな。



そう思って扉を閉めようとしたら


「早過ぎだから」


そんな声と共に、叩かれた肩。



振り向けば

逢いたかった

愛しい人。



「おいで?」



先生はあたしにそう言うと

あたしの側を摺り抜け

職員室に入って行った。


あたしもそれに続いて

中へ入っていく。



「あ、高田先生!

応接室に通してありますんで」


高田先生に気付いた学年主任の先生が

ちらりとあたしを見てから

そう言った。


「ありがとうございます」


先生は頭を下げると

そのまま応接室へ向かい

あたしを中へ促した。


















「…えりか…っ!」



応接室にいたのは

母だった。