「ま、女の子は泣き虫なくらいのが
可愛いけどな」
ニヤッと笑う先生に
「泣き虫じゃないです!!」
そう反論すると
「素直じゃねぇな〜」
って笑いながら
持っていたノートの角で
あたしの頭をコツンとたたく。
…ズルイ。
先生は本当にズルイ。
これでもかってくらいあたしの心を乱すのに
彼自身は全く乱れないのだから。
「今日の昼放課
俺んとここいよ?」
座ってるあたしの耳元に近づくように
少しだけ身をかがめて
先生はそう言い残すと
教室を出て言った。
先生が出て行ったドアから
しばらく視線を反らせず
固まるあたし。
そんなあたしを拓哉が見ていたことに
気付くわけもなく。