そうしてその日
楽しく幸せに過ごせたから
あたしは忘れてしまったの。
恐怖を味わってしまったことを。
…いや、
忘れたかったのかもしれない。
何事もなかったと
今まで通りなのだと
思い込みたかったのかもしれない。
それが甘かった。
もっと
ちゃんと
警戒しなければいけなかったんだ…。
次の日から
微かに聞こえる足音は
日に日に大きくなっていった。
たしかに、
もう、すぐそこにまで
迫って来ていた。
あたしはそれが怖くて
怖くて
怖くて…
寝ることも食べることも
出来なくて…
もう、限界だった。
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