ごめん、拓哉。

゙なっちゃん゙は

先生だけが呼んでいい名前だから。



拓哉は呼ばないで??



そう言おうと思った。

そう言いたかった。



だけど

そんな言葉は

言えない。

あたしは俯いて黙った。



「神谷、だ―め!」



そんなあたしの耳に届いたのは

先生の否定。


「なっちゃんって呼んでいいの

俺だけだから!」


顔をあげたら

先生はニヤって笑いながら

拓哉を見てる。


「なんで…」

キーンコーンカーンコーン…


なんともいいタイミングで

なったチャイム。

先生もそれをうまく使って


「おし、授業やるぞ―!」


なんて、すっかり話し変えてる。