「よし、完成!!!」



あれから数分。



あたしを弄っていた沙来が

満足そうに叫んだと同時に


みんながあたしに注目した。





「………………」





そして、何故か沈黙。



「え?え??」



みんなの無反応に

ものすごい不安を感じたあたしは

近くにあった鏡で

自分の顔を覗き込んだ。





「…………誰??」





そこに写ったのは

自分とは思えない、自分。





短いショートカットの髪は

ふわふわと大きめのカーブを描くように巻かれ

所々がピョンっと軽く跳ねていて

前髪は

斜め分けにしてピンで止めてある。



さらに、顔も。

いつもは全くしない化粧が

全体にバッチリと施されて


目は…1.5倍?って思うくらい

大きく見える。



唇にも

ツヤツヤのグロスがつけられ



本当に

自分じゃないみたいだ。





「あたし、すごくない?」



あたしの変身っぷりに

沙来は大満足らしい。



みんなに同意を求めれば



「えりかちゃん超かわいい!」

だとか

「普段から化粧したほうがいいよ〜!」

だとか



信じがたい言葉が教室を跳びかった。