「美味しい!」



それからやっと

クロワッサンを食べることに専念したあたし。


先生が買って来てくれたチョコクロワッサンは

本当に美味しくて


「だろ―?」


あたしの感嘆の声に

先生は満足そうに笑う。



「これ、何処で買ったの?」


「ん?

あぁ、すぐそこのコンビニだよ」


「え―!

知らなかった!!」





美味しいクロワッサンに

他愛ない会話。


それから、先生の笑顔。



これだけで

世界中の誰よりも幸せなんじゃないかって錯覚したくなるほど

幸せを感じてるあたしって



やっぱりそうとう

先生にハマっちゃってるんだろうな。





「ん?

どうした?」



そう首を傾げた先生に

食べることも忘れて

先生を見つめてしまっていたことに気付く。



「わっ、いや、

なんでもない!」



”見つめていた”

その事実が恥ずかしくて

慌てて視線を逸らしたけれど


先生が楽しそうに笑うから

そっと、再び視線を先生に戻せば


優しい優しい目で

あたしを見てくれていた。



あぁ、まただ。



その目を見るたび

ココロの奥底の、深い深い場所を

ぎゅうって掴まれたような気分になるの。



それから

甘くて切ない、その痛みを感じる度



どうしてかな?



『好きだなぁ』って

泣きたくなる。