ずるい。

先生はずるいよ。



そんなにあたしを喜ばして

どうしたいの?



何も言わないあたしの顔を覗き込んで


「わかった?」


なんて、優しい声で聞かないでよ。





「…わかったもん」



やっとの思いで口をついた言葉は

なんだか刺々しくて


だけど先生が

満足したように笑うから


いつの間にか

あたしも笑ってる。





「てか、お腹空いてるよな?」



はっと思い出したかのように

突然先生は切り出した。


言われた途端

なんだか急にお腹が減った気分になって


案の定 ぐぅう っと音を立てた。



「なっちゃんのお腹は

なっちゃん以上に素直だな」



さらに真っ赤になったあたしに

先生はケラケラと笑って


「それ、食べて?」


あたしが持ってるビニール袋を指差した。



「えっ、食べていいの?」



今食べていいものだと思わず

びっくりして聞き返したら


「食べてもらうために買ってきたんだし(笑)」


先生はまた、可笑しそうに笑う。