「先生の奥さんって、

どんな人ですか?」



いつか聞いた質問。

なんの意味もなく

ただの好奇心から聞いた質問。


先生は


「俺の嫁さん?

んなの、超かわいい人に

きまってんじゃん!」


そう、満面の笑みで言ったんだ。



たしかあの時は


「ぅわ、ノロケですね〜(笑)」


なんて

あたしも満面の笑みで

ウケてた気がするよ。





あの頃のあたし

どこいったんだろ。





どうして今、その言葉を思い出すと

こんなに苦しいんだろ。





「なっちゃん」


ふいに名前を呼ばれて顔を上げると

先生が真っ直ぐあたしを見てた。


「今日あたるからな〜。

用意しとけよ!」


ニコッて笑った先生に


「は〜い」


って、目をそらしながら返事した。