それが先生の手だって気付くのに
そんなに時間はかからなかった。
顔を上げた途端
目の前に先生の体があったから。
「ずっと気になってたんだよな
絡まってんの」
そんなこと言いながら
両手であたしの髪を触る先生。
今まで何度も、髪を撫でてもらうことはあったけれど
こんなに先生に近付いたのは
初めてかもしれない。
さらに顔を上げれば
真剣な目であたしの髪を見てる先生の顔があって
そんな表情されたら
もっとドキドキしちゃうよ。
かぁっと顔が熱を持ったのを感じたから
また静かに俯いた。
こんな真っ赤な顔
見せられないもん。
あたしがどんなキモチでいるか
なんてこと分かるわけない先生は
「ん、取れた」
ってニコッと笑うと
そっとあたしの髪に指を通して
「まぁ、とにかく
俺はずっとなっちゃんのこと
見守りたいって思ってるから」
なんて
またあたしが喜んじゃうような事を言うんだ。