は!?
なんで!?
いつから!?
心の中はそんな風に
突然のことについていけなくて
動揺し、焦り、大パニック。
でも、実際のあたしは
ぽかん、と口を開けて
立ち尽くすことしか出来ていなかった。
「本当に気付いてなかったんだなー」
そんなあたしに
先生はクックッと肩を揺らして笑い
静かにあたしの側へと歩んで来た。
「ん、食べな?」
そしてあたしのすぐ側まで来ると
すっと右手を差し出した。
その手には白いビニール袋が握られていて
もう、何がなんだかわからなかったけれど
心とは裏腹に
あたしの手は素直にそれを受け取っていた。
そっと中を開ければ
チョコクロワッサンがひとつ入っていて
「…え、あの……」
何から話せばいいのか
今何をすればいいのか
何ひとつわからないあたしは
そう言葉を発するのが精一杯。