「てか、君って那智さんだよね?」
「へっ?!」
渡し終えるや否や
突然自分の名前を言われ
大袈裟に驚いてしまった。
そんなあたしに櫻井先生は
「そんな驚かなくても」とクスクス笑う。
「あ、いや、えっと、那智です」
なんとなく恥ずかしくて
視線を泳がせてそう言えば
「ははは、聞いていた通りの子だ」
先生は意味ありげにニヤリと微笑んだ。
聞いていた通り?
「え、あの
あたしのこと誰から…?」
何となくひっかかったから
聞き返してみると
先生は内緒話をするかのようにあたしの耳元に近付いて
「俺、高田と仲直いんだよね♪」
そう、小さな声で呟いた。
へー…
高田先生と櫻井先生って仲直いんだ…
それはかなり意外な組み合わせで
あたしは2人が仲良さげに話している姿を思い浮かべてみた。
と、同時に
「って、高田先生から
一体何を聞いたんですか!?」
1番重要なことを思い出して
思わず大きな声を出してしまった。