「サクラ」

母の名前

桜を見ると思い出す

押し寄せる後悔と、どうにもできない現実。

晴れ晴れしい日だと言うのに、心はいつも曇り空だった。

初めて入る教室は、床に塗られたワックスの匂いがする。

座席表を確認すると、私は真ん中の列の1番後ろの席だった。

「ねえねえ」

「は、はい…」

「私、佐久間 四葉!隣の席だし、仲良くしてね!!」

「あっこちらこそ…よろしく…」

ハキハキと話すその子は、桜色の長い髪を2つに結んでいる。

「名前、なんていうの?」