どんどん近づいてくる左和季君の顔。


思わず胸板を押して、これ以上沈むように近づく左和季君の動きをとめてしまう。



「左和季くんっ!だっ、だめ」


「安心しろ、"手"は出さない」


「……」


「"手"はな」


「……っ」


物は言いようだと思う。



綺麗な顔にずっと見つめられて、恥ずかしいはずなのに目を逸らす余裕さえない。


キス……されるかと思った。


けど、左和季君の顔は私の顔の横を通り
首筋に顔を埋めてきた。



左和季君の吐息が肌に触れる。


その時ビクッて体が震えた。




「……意識しまくってんなお前。」


「そっ、そりゃあそうだよ!
　てか左和季君早く退いてよ!!」


「俺を煽った責任くらい取れよ」


「……っ」


「人が気逸らせようと寝ようとしてんのに、話しかけてくるから悪い」



「だ、だって……」


「好きな女とふたりっきりで我慢できるような男じゃねーんだわ、俺は。」