距離がゼロになった時、左和季君に手を引かれエレベーターに乗る。
震えて上手く鍵を回すことが出来ない私の手を左和季が掴み、鍵を開けてくれた。
部屋に入ると、玄関で靴を脱がない左和季君を不思議に思い、目を瞬きさせる。
「左和季くん……?」
「手出さねーつったが、本当にお前は大丈夫か?」
「へっ?」
「朝まで俺と密室でふたりきりって、普通に考えて危ないだろ。
言葉だけの信用なんてするもんじゃない。」
「……」
言いながらそっぽ向く左和季君。
初めて出会った時はあんなにグイグイ迫ってきたくせに。
今じゃ自分のこと「警戒」しろ……だもんなぁ。
「左和季君って、意外とピュア?」
「あ?」
「左和季君なら大丈夫だよ」
「襲うぞお前」
「はいはい。ほら早くあがってよ」