「近づくな……っ!これ以上近づいたらこの女が……」
「"この女"が……?」
「……っ」
「どうした。早く続きを言え」
脅しに対してまったく取り乱さない左和季君がどんどんこっちに近づいてくる。
男は「くそっ……!」と舌打ちをし、私を勢いよく押す。
そのせいで体がバランスを崩し、「わっ……!?」と小さな悲鳴をあげると。
倒れそうになったところを左和季君が包み込む様に腕の中へと抱き留める。
その隙に男は焦りながらバイクを発進させ逃げていった。
「……っ、追いかけねーと」
「さわきく……っ」
「大丈夫だ、お前を放ってはいかない。お前も連れて……」
「そうじゃなくて……っ!!」