「……左和季の女だな?」


「ーーっ?……!!??」



さっさと男から離れようと、早足になるつもりが
一歩前に出るのが遅かった。



バイクに跨がったままの男に腕を掴まれ、その男は左和季君の名前を口にした。



間違いない。


この人、瞑静の人だ。



「……っ、離してください!!」


「うるせぇ!全然ひとりにならねーからこっちは焦ってたんだよ!!
 ラッキー……これで左和季に報いることができる。
 女、ひどい目に合いたくなきゃ大人しくしろ!!」



血走った目で私を見る男の口調と力が強くなる。


そのせいで声がでない。


怖い……っ。


どうしよう、このままついていったら絶対にひどいことされちゃう。


でも逆らったら逆らったで、もっとひどいことされちゃうかもしれない。



どうすればいい?


駄目だ……自分でも分かっちゃうほど混乱して何も考えられない。

  

だけど絶対に。
この人の思い通りになるわけにはいかない。


だってそれは、私が左和季君の弱点になってしまっいることを知っているから


ーーだったら。




「さ……わ、き君」


「あ?」


「さ、左和季くん……っ!!助けて!!!!」