後ろから手を伸ばし、小羽を引っ張り俺の元に戻す。



「へっ……?」と一瞬何が起こったのか分からないと、コイツの呆けた表情にさえ目頭が熱くなる。



牙を見せ噛みつく様に唇を狙った。


が、切れたはずの理性の糸が一瞬で結ばれた時。


危うくキスしそうになったのを避け、頬に自分の唇を押し付けた。



「…………へっ?」


直にキスしなかったとはいえ、頬にしたのは変わりない。


驚いて何回も瞬きする小羽に、自分でも一瞬だけ制御できなかった欲になんて言い訳していいか分からない。



「……頬に、ちゅーされた。今したよね左和季くん」


「……ちゅーとか言うな、可愛いな。
 お前もうさっさとマンション戻れ。
 自分の欲嘗めてたわ。危ねぇ」


「戻ろうとしたの止めたの左和季君じゃん。
 もういいよ!おやすみ」


「……あぁ」



まだ寝る時間じゃねーけど。



今まで女相手に我慢する必要なんかなかったからな。


手が出せねぇつーのは



「……地獄だな」