停めてあるバイクに跨がって、ヘルメットを深く被った小羽がちゃんと後ろに乗っているかを確認してから発進させる。



乗りなれていないバイクの後ろに怯えて、俺にくっつく小羽のおかげで背中が暖かい。



しばらくして見えてきたマンションに着くと、ヘルメットを脱いだ小羽がジッと顔を見つめてきた。



「熱烈な視線なんか送ってどうした。
 俺が帰るの寂しいってか」


「……違うよ。
 左和季君って自由人だからちょっと心配だったけど、ちょっとどころか、今日で余計心配になっちゃった」


「心配なんかされたことねーんだけど。」


「ほら、そんなこと言って自覚がないから無茶するの!
 ……またマンションの下で倒れたりしないでね」


「……」


「じゃ、じゃあね!!」



顔を赤くさせながら、持っているヘルメットを俺に押し付け走り去ろうとする小羽。



なんか、理性つーの?


その糸がプツンって切れた音がした。