松茂さんの盛大なため息と、まだ俺を疑うようにジッとこちらを見る美喜矢。
「あの、私……別に護ってもらわなくても大丈夫」
また、こいつは。
せっかくいい感じにこの二人を説得できそうって時に、可愛くないことを言い始める。
「俺のせいとはいえ、お前今自分がどれだけ危ない状況に置かれてるか自覚しろ」
「……でも、できるなら怖い人たちとは関わりたくないし」
「あ?」
それって俺も入ってんじゃねーの?
なんか拒否られたみたいでムカつくな。
小羽の肩を無理矢理抱き寄せて、顔を近づける。
唇がくっつきそうな至近距離に、小羽は分かりやすく顔を真っ赤にさせる。
「見ず知らずの"怖い人"たちに喰われんのと、今顔見知りになった"怖い人"たちに護ってもらうのどっちがいいか選べ」
「……あ、」
「どっちも嫌つーなら、今目の前にいる"怖い人"に軽く唇奪われてもいい覚悟で断れよ」
「……っ」
「どっちみち、お前に逃げるって選択肢はねーよ。」