雨音を搔き消す勢いで、聞こえてきた低い声に心臓が一瞬時を止めた様に停止した気がしなくもない。


ブリキ人形なみにカクカクと小刻みに動いて、男の方を見ると。

さっきまで瞑っていたはずの男の目は完全に開ききっていた。



「あ、あ、あの」


「男の俺を部屋に連れ込んで襲うとはいい度胸だ」


「ち、ちがっ!」


「いいぜ?傷の手当てくらいは相手してやっても」



ギシリとわざとらしくベッドを軋ませる男が、上半身だけを起こす。



我ながらすごくバカだ。



彼のボタンを外したせいで、はだけたシャツが余計に私の羞恥を煽る。



「はだけ……はだけてるのでボタン!つけて早く!!」


「あ?お前が脱がしたんじゃねーか、今さら初な振りすんなって」


「してないですし!も……もうなんか色々と死ぬ!!」