普段の俺を知ってるコイツらからすれば
俺は今、牙を抜かれた猛獣に見えんだろうな。
「フッ」と笑う俺の横で、さっきまで顔を合わせたがらなかった小羽が強気な目つきで美喜矢を睨む。
「……左和季君危ない目にあってたんですよ?
心配とかないんですか?」
「……はぁ?心配??なにそれ、左和季に一番必要ないもんじゃん。」
「友達なら……普通心配すると思うんですが。」
「バカなの?左和季が心配されるようなタマかよ。
戦闘狂だよ?コイツ。」
驚いた。
美喜矢相手に言い返す小羽も小羽だが。
美喜矢が蛇狼の連中以外にムキになってるとこ初めてみた。
普段他人なんかどうでもいい精神で生きてるからな美喜矢は。
なんか面白いもん見せられてる気分になる。
「……左和季君」
「あ?」
「暴走族抜けよ」
「「「はぁ?」」」
この場にいる全員の声が、小羽の突拍子もない一言で一つになる。
「ねぇ、さっきからバカなこと言わないでくれる?」
「だって左和季君。こんなところ居たら危ないもん」
「……だから、一番危ないのは左和季だって。
あんた人の話聞いてる?
コイツがどれだけ強いか分かってて言ってんの?」
「なんとなーく……雰囲気で分かるけど。
でも危ないところに足突っ込んでほしくないじゃん!
君は左和季君のこと心配じゃないかもしれないけど、私は心配だからこの悪徳集団から左和季君を助ける!」
「誰が悪徳だ、ふざけんな」