急に美喜矢に腕を掴まれ、「……っ」と分かりやすく怯える小羽。


あーあ。


怖がる小羽も可愛いが、それは俺の前だけで見せる時の話だ。


他の男の前でそんな顔されちゃつまんね。


美喜矢の手を思いっきり払い、怯えて固まる小羽の肩を抱き寄せる。




「おい、美喜矢。勝手に触んな」


「……は?」


「俺のもんだ。」



目を細めて睨むと、美喜矢も容赦なく俺を睨む。


すると。


さっきまで顔を赤くしていた松茂さんが、ピリついた雰囲気にため息を吐いて、少しは冷静さを混じえようと調和する。



「左和季、その子誰だ。
 美喜矢の言う通り、ここは関係者以外立入禁止だ。」



「小羽は関係なくないですよ。
 まあ、俺のせいで巻き込まれたって言った方が早いですね。」



こっちに目を向ける松茂さんと深く視線を合わせる。




「……どういう意味だ?」


「暝静に絡まれてるところをコイツが止めに入ってきて、そん時小羽の顔見られました。」


「……まじか」


「暝静は今、上の奴等俺にやられてピリついている状況だ。
 たとえ女だろうが、俺を潰せんなら利用してくるに決まってる。
 そんな状況でコイツひとりにはできないね。」