段差の少ない階段をおりて、帰っていく左和季君。
……心配、してくれてるんだ。
なぜか手を押し当てた胸がキュンと鳴る。
左和季君ってほんと、女の子の扱いが上手い。
不覚にもときめいてしまった。
さっきから温度上昇中の顔を誤魔化す様にペチペチと叩き、部屋に戻る。
暗いワンルームの明かりをつけた時、なんだか少しひとりでいることに寂しさを感じた。
それはきっと、さっきまで隣に左和季君がいたからなんだろうな~。
「あ」
明日は土曜日、学校も予定もこれといってないけど。
レジ袋から取り出した廃棄弁当が少しだけ凹んでいたことに気がついて、テーブルの上に置いた時には何もかもやる気を失くしていた。
明日は部屋でのんびりしよっと……。
最近、なんだかバタバタしてて疲れちゃった。
でも、左和季君の顔見るのは嫌じゃない自分がいる。
それがなんでなのかは分からないけど。
きっと、好奇心なんだろうと思う込むようにして、左和季君の連絡先が入ってる携帯の液晶画面をジッと見つめていた。