駄目だ、左和季君相手に真面目にツッコミしてたら夜が明けちゃうよ。
「とにかく、駄目ったら駄目なの!!」
グイッと胸板を押して距離を取る。
左和季君は相変わらず無表情で私を見下ろす。
「なんで駄目なのか言え」
「だから、一人暮らしの女の子の部屋に彼氏でもない男が泊まるってことがおかしいの!」
「それは、男に"何かされる"って意識があるからそう思うんじゃねーか?」
「はい!?」
その言い方だと、私が意識しすぎてるみたいじゃん。
だって別に、私おかしなこと言ってないし。
なんだったらただの常識人だもん。
隙ができないくらい、距離を詰めようとしてくる左和季君。
一歩離れると、また一歩近づいてきて。
だいぶ後ろに下がったせいで、気づけば私の背中には専用集合玄関機がある。
「何もないなんて、男女の間でそんな生温いことあるわけないもんな?」
「……」
「今回はお前の言う通りだ。
恋愛経験なしの小羽にしては、上等な答えだったな。」
「……バカにしてるでしょ」
「いや、からかってる。」
「一緒じゃん!」