「さ、左和季君!送ってくれてありがとう!じゃあね」
どうにかして逃げないと。
ちょっと強引だけど、さっき言われたこと全部を無視して手を横に振りサヨウナラを告げる。
が、そもそもこの男は私を離す気なんて元からない。
左和季君にしっかりと掴まれている手首はさっきよりも、痛くない程度に力が込められている。
「お前の耳は飾りか何かか?
泊まるつってんだ、俺も部屋まで連れてけ」
「や、やだよ!
彼氏でもないのにお泊まりなんておかしいでしょ!」
「旦那だろ?」
「……そのネタまだ続いてたの?言ってて恥ずかしくない??」
「全然。事実だろうが」
「いつ婚姻届を役所に提出したの?私たち」