左和季君は出会った時から、ハッキリと気持ちを口に出してくるから、モジモジと恥ずかしくなって落ち着かない自分が気持ち悪い。


けど、全然嫌じゃないっていうか。


左和季君みたいなカッコいい人が本気で私を相手にするとは思ってないけど。



そんな真っ直ぐな視線で言われたら、本心なんだろうなって疑う必要もなくなる。



……あと、懐かれてる気がして悪くないんだよね。




「今日金曜日だろ。警備も兼ねて小羽の部屋泊まってやるよ」


「えっ!?なに言ってるの??」



いつだって唐突な彼は、何を思ったのかマンションを見上げながらおかしな事を言う。



「とま、泊まるって!なんで??」


「さっきの奴が小羽のこと狙ってるかもしれないこの危ない状況で、お前をひとりにさせたくないって言ってんだ。
 つか、この俺にこんな小っ恥ずかしいこと言わせんな」



ここは乙女チックな雰囲気のお花畑じゃなくて自転車置き場なのに、顔が熱くなっていくのはなんでなの。



「行くぞ」と強引に私の手を引く左和季君。


慌てて自転車のグリップから廃棄弁当が入ってるレジ袋を取って、左和季君に引っ張られる力に従い、集合玄関前で立ち尽くす。