まあでも……さすがに今日はこれ以上は攻めちゃ、まずいよな。


我慢知らずなせいで、込み上げてくる焦れったさを誤魔化したくなり、ついポケットからタバコの箱を取り出す。



「あっ!左和季くん!!この前タバコは駄目だって言ったのにまだやめてなかったの?」


「簡単にやめられたら苦労しねーよ」


「苦労してでもやめた方が体の為にもなるの!没収」


ひょいっと、またしても箱ごと取り上げられた。


しかも容赦なくゴミ箱に捨てるコイツは鬼だ。



しかし、そんな簡単にやめてもな。


褒美ないとやる気でねーんだわ。



「俺の口が寂しがってんだけど」


「駄目なもんは駄目だよ」


「しゃあねぇな。そんじゃあ会ったら一回お前がキスしてくれんなら、やめたる」

「き、きす!??キスってあの……」


唇を尖らせながら、まぬけ面で左右の人差し指をくっつけるコイツはアホだ。


「まさかキスもしたことねーのか、お前。
 絵に描いた純情っぷりだな。
 つか……そうなると、キスはハードル高すぎたな。じゃあハグでいいや」

「どっちもしないって!」

「つれねぇな」