「なに、心許してくれてんの?」
「……違うよ、左和季君が軽いからハッキリ言ってやろうと思って喋ってるだけ」
「それは距離取られるよりだいぶマシだな。でもよ」
水の入ったコップは俺の手を冷たくさせる。
そのひんやりとした手で、小羽の手を床に押さえつける様に触ると。
目線を逸らさせない様、しっかりと目を合わせる。
「自分を助けた女が気になるなんて、そんなの当たり前だろ」
「……」
「これは遊びでも一目惚れでもねぇ。
見ず知らずの、しかも怪我して倒れてる男となんて絶対に関わりたくねーくせに、それでも助けたお前のことが俺は気になってんだ。」
「……っ」
「こんな度胸のある女、気になって当然だろ」
今すぐにでも噛みついて俺のもんにしたい。
でもそれじゃあ嫌がって、ただでさえ解けない警戒心を余計悪化させるだけだ。
なら、ジワジワと強引に振り向かせるまでだ。