すると。



ドンッ、と。痛くない衝撃音にゆっくりと瞑っていた目を開くと。


左和季君が、階段の手すりを掴んで落ちてきた私を受け止めている。



「……お前な、俺の心臓何回止まらせる気だ」


「ご、ごめんなさい……」


「まぁ、そんなことよりも」


「……っ」



ギュッと私を抱き締める左和季君。


「何もされてないだろうな……?」


「……うん、先に左和季君が助けに来てくれたから」


「無事でよかった、お前になにかあったらマジで自分を恨むわ」


「本当に大丈夫だよ……?助けに来てくれてありがとう」


「んなの当たり前だろ、礼を言うな。小羽は悪くないんだから」



すっごく心配してくれたみたい。


左和季君の安堵のため息が、聞こえるか聞こえないかくらいか細くて、どんどん体の力が抜けていく。


「立てるか?」


「……うん……っ!?」


左和季君に言われて立とうとした瞬間。


完全に抜けきった足の力のせいで、上手く立てない。