ふと、ギュッと握られる手。
私の手を引く左和季君が何も言わず歩き始めるから、つられて私も足を前に出すけど。
他校の学校内に入っちゃった。
それなのに左和季君はゆっくりと、それでいてどんどん前へ進む。
「左和季君……!?どうしたの急に……手なんか繋いで。それに学校に入っちゃったけど!!
忘れ物なら私待ってるよ。さすがに先生に怒られちゃうよ」
「手繋ぐなんていつものことだろ」
「学校じゃ恥ずかしいよ」
「じゃあもっと恥ずかしい思いさせてやろうか?」
「へ」
「お前を抱っこして歩いたって俺はいいんだぜ?
その方が小羽の怪我を気にせず歩けるしな」
「なっ……!?公衆の面前でやだよそんなの!!」
「それが嫌だと思って手で我慢してんだ。
黙ってついてこい。」
「……どこ行くの」
「保健室」
怪我のこと、気にしてくれてるのは嬉しいけど。
やっぱり制服が違うせいかな。
見慣れない校内は左和季君と一緒なのに居づらい。