「ねぇ~、コンビニの駐車場に柄の悪い人たちが集まってるんだけどお店から出るの怖くない?」


「女の子だから大丈夫でしょ」


「つか、美人多いな」



聞こえるお客さんの会話に、思わず目の前にいる有栖川さんを見る。



「ごめんね、最近何かと物騒だから。
 ほら、うちは女の集団でしょ?
 だから出来るだけひとりにはならない様にしてるの。」


「族狩り……ですか?」


「まあ、そうね。」


「……?」



族狩りが流行ってて、雪紅だって狙われてもおかしくないのに。



今の有栖川さんの言い方、まるで他人事みたいだった。


渡されたレジ袋をしっかり持って、帰ろうとする有栖川さんが「あっ、そうそう」と付け足す様に私に視線を戻す。



「木曜日だったかしら。
 五月女君、族狩りの連中に襲われそうになってたわよ」


「……っ」


「その様子じゃ、聞いてなさそうね。」



勝ち誇ったように笑う有栖川さん。



「もし五月女くんが危ない目に合っていたら、私ならすぐに駆けつけられるけど、君はどうかしら?」


「……っ」


「君と五月女君とじゃ住む世界が違いすぎるんじゃない?」


「……」



「それじゃあ、バイト頑張ってね」