顔を上げると、見慣れたマンションにもう着いたんだと少しだけブルーな気持ちになる。
もうちょっと左和季君と一緒にいたかったな。
「左和季君今日泊まっていく?」
「はぁ?……どうした、突然」
「だ、だって」
なんだかモヤモヤするんだもん!
今のうちに左和季君のこと掴んでおかなきゃ怖い。
集会に女の人が来るなんて……そんなの想像もしてなかったし。
自分で言ってて虚しくなるけど、左和季君の"その"世界にだけは入れないんだもん。
私、まだいまいち暴走族のことよく分かってないし。
「……はぁ」と左和季君の小さなため息が、私の視界を暗くさせる。
やっぱり呆れたかな?
沈んでいく気持ちと一緒に、目線を下げると。