小羽の手料理を特別な関係になって食えたことで、腹も心も満たされた後、ふたりでベッドを背凭れにしながら床に腰を下ろしテレビを観ていた。
すると、食べた後にくる妙な眠気に抗おうと頑張っている小羽が俺の肩に頭を置く。
すぐに「ごめん」と謝って離れようとするから、頭を撫でるように触れながら無理矢理俺の肩に乗せさせた。
「眠いなら寝ろ、肩くらいは貸してやる。」
「……ありがとう」
「……つか、やっぱベッドの方がいいか?」
「……」
「小羽?」
返ってこない質問に、答えを探る様に小羽の顔を覗くと。
既に目を瞑って眠っていた。
「可愛いなお前の寝顔」
「……」
聞こえてないのに、俺は何を言ってんだか。
「恋人としては、安心しきった顔で身を任せてくれるのは嬉しいが」
「……」
「男としては、そこまで安心されると複雑だな」
「……」
まあいいや。
今だけは小羽のペースに合わせてやる。
見てて飽きない寝顔がよく見える様に小羽の前髪を掻き分けて、俺は密かな欲望を抱いたまま恋人の体温を感じていた。