「本当はさ、知ってたよ。」
さっき、左和季君が不良の胸ぐらを掴んでいたのは、私が襲われそうになった時のことに対して変わりに怒ってくれてたんだよね?
なのに危ないことしないでって。
状況見て察してたはずなのに、咄嗟に出てきた言葉は可愛くない言葉ばかりで。
「『ありがとう』って真っ先に伝えたかったのに」
「……」
「ほんと私って可愛くないよね。
でもやっぱり左和季君には危ないことしてほしくないな」
怪我したらどうしよう、とか。
暴走族に入っていることで、誰かの恨みを買ったりだとか、左和季君がトラブルに巻き込まれたりとかしたら嫌だもん。
「……怪我さえしなければいいんだけど」
「……」
「会えなくなるとか絶対嫌だからね私。」
だってこんなにも。
「好きなんだもん」