「ねっ、ねぇ美喜矢君!
 左和季君なんで私のこと呼んでるの?」


「さあ?知らない。
 着けば分かるんじゃない??」


最初はあんなに冷たかった美喜矢君も、返事はまともに返してくれるようになったから
解かれた警戒心にホッとしちゃう。



とは言っても、見慣れない美喜矢君の背中に緊張しちゃって、その後は終始無言だった。



数分後、住宅地から離れた土手に着くと
本当に存在するのか不思議だった特攻服の集団を目の当たりにする。


その人たちに紛れるように美喜矢君が歩きだすから、怖いけどひとりになりたくなくてついていく。



すると松茂さんが近寄ってきて「左和季はあっちだ」と美喜矢君に人がいない方向を指さし、美喜矢君が頷いて言われた通り歩きだす。



どこにもいない左和季君の姿に不安を感じながらも、黙って美喜矢君についていくと。