そして最後の書物庫へと差し掛かる。

書物庫はあまり誰も使わない部屋のせいか、かなり埃っぽくて、そして狭い。

しかもドアは壊れていて、一度閉めてしまうと業者に来てもらわないと開かないという曲者なため、間違えて木嶋さんが閉めてしまわないように注意喚起をした。

本音としては入らずに説明したい所だけど、見せなければいけない資料があるため、やむを得ず足を踏み入れる。


早くこんな場所から出ようと、私は早々に書物庫の説明を始めようと口を開きかけたそんな時。

それまで自分からは何も話さなかった木嶋さんが、突然口を開いたのだ。


「さっきからずっと聞こうか迷ってたんですけど……あれから彼氏さんとは何か話し合ったりしたんですか?」

「……え?」


急に彼氏の質問を振ってくるもんだから、驚いて間抜けな声が出てしまった。


「今日も彼氏さんのこと考えてて体調悪くなったんじゃないんですか?」


見事に図星を突かれて、だんまり。

確かにこんなにお世話になって何も話さないのも失礼かと思ったけど、やっぱりこれ以上頼るわけにはいかない……。


そう思い、上手いこと話をスルーしようとジリジリと扉の方に後ろ足で歩いていた矢先…………