僕らは二人で色んな屋台を回った。
屋台の並ぶ参道は多くの人達で溢れかえっており、気をつけなきゃ加賀さんとはぐれてしまいそうだった。
こんな時に手を繋ぐと良いんだけど……
だけど、僕には加賀さんに手を繋ごうと伝える勇気もないし、断られたら、その後がとても気まずくなるのが目に見えている。
「ねぇ、赤城君。はぐれたらいけないから手を繋ぎましょう」
僕がどうしようかと悩んでいると、加賀さんの方から手を差し出してきた。その手は小さく、そしてとても白く触れて良いのか戸惑ってしまった。
「どうしたの、赤城君?私とは手を繋ぎたく無かった?」
加賀さんが心配そうに僕の方を見ている。
「そんな事ないよ」
僕はそう言うと、掌をズボンに擦りつけ汗を拭うと加賀さんの手を繋いだ。
赤城さんの手は柔らかく強く握りしめると壊してしまいそうだった。
「ふふふっ」
何故か加賀さんが笑っている。
僕はぽりぽりと頬を掻くとゆっくり加賀さんの歩幅にあわせ歩き始めた。
僕ら二人は色んな出店を見て回った。
それらを楽しそうに覗き込む加賀さん。その笑顔は、とても可愛らしくいつまでも見ていたいと思った。そして、僕は同じ学校の生徒達に会ったらどうしようかなんて言う考えは、どこかに行ってしまっていた。
でも、そんな楽しい時間はあっという間に過ぎていく。
気がつくと午後九時を少し過ぎていた。
「門限とかないの?」
僕は男だからそんなに門限には厳しくはないけど、加賀さんは女子である。僕は心配になり加賀さんへと尋ねた。
「……あるわ」
加賀さんが少し寂しそうに答える。
「大丈夫なの?」
「あと少しは大丈夫よ」
「そうか……それならゆっくりと歩きながら帰ろうよ」
僕のその言葉にこくりと頷く加賀さんが、突然、自分の指を僕の指へと絡ませてきた。
「ありがとう……赤城君」
僕らはゆっくりと歩いた。
少しでも加賀さんと一緒にいたい。僕がそう思っているだけかもしれない。だけど、それでも良かった。
神社を出てからも、取り留めのない会話を交わしながら歩いていると、加賀さんが急にぱたりと足を止めた。
「私の家、ここなの」
家の前に来たのに加賀さんは僕の手を離そうとしない。
それどころかぎゅぅっと力を入れている。
僕も加賀さんの手を握り返す。だけど、いつまでもこんな事をしている訳にはいかない。
「ごめんね……赤城君。困っちゃうよね」
加賀さんが僕の手をぱっと離すと、寂しそうににこりと微笑んだ。
「今日はありがとう……おやすみ」
小さく手を振りながら家の中へと入っていく加賀さんを僕は扉が閉まり姿が見えなくなるまで見つめていた。
屋台の並ぶ参道は多くの人達で溢れかえっており、気をつけなきゃ加賀さんとはぐれてしまいそうだった。
こんな時に手を繋ぐと良いんだけど……
だけど、僕には加賀さんに手を繋ごうと伝える勇気もないし、断られたら、その後がとても気まずくなるのが目に見えている。
「ねぇ、赤城君。はぐれたらいけないから手を繋ぎましょう」
僕がどうしようかと悩んでいると、加賀さんの方から手を差し出してきた。その手は小さく、そしてとても白く触れて良いのか戸惑ってしまった。
「どうしたの、赤城君?私とは手を繋ぎたく無かった?」
加賀さんが心配そうに僕の方を見ている。
「そんな事ないよ」
僕はそう言うと、掌をズボンに擦りつけ汗を拭うと加賀さんの手を繋いだ。
赤城さんの手は柔らかく強く握りしめると壊してしまいそうだった。
「ふふふっ」
何故か加賀さんが笑っている。
僕はぽりぽりと頬を掻くとゆっくり加賀さんの歩幅にあわせ歩き始めた。
僕ら二人は色んな出店を見て回った。
それらを楽しそうに覗き込む加賀さん。その笑顔は、とても可愛らしくいつまでも見ていたいと思った。そして、僕は同じ学校の生徒達に会ったらどうしようかなんて言う考えは、どこかに行ってしまっていた。
でも、そんな楽しい時間はあっという間に過ぎていく。
気がつくと午後九時を少し過ぎていた。
「門限とかないの?」
僕は男だからそんなに門限には厳しくはないけど、加賀さんは女子である。僕は心配になり加賀さんへと尋ねた。
「……あるわ」
加賀さんが少し寂しそうに答える。
「大丈夫なの?」
「あと少しは大丈夫よ」
「そうか……それならゆっくりと歩きながら帰ろうよ」
僕のその言葉にこくりと頷く加賀さんが、突然、自分の指を僕の指へと絡ませてきた。
「ありがとう……赤城君」
僕らはゆっくりと歩いた。
少しでも加賀さんと一緒にいたい。僕がそう思っているだけかもしれない。だけど、それでも良かった。
神社を出てからも、取り留めのない会話を交わしながら歩いていると、加賀さんが急にぱたりと足を止めた。
「私の家、ここなの」
家の前に来たのに加賀さんは僕の手を離そうとしない。
それどころかぎゅぅっと力を入れている。
僕も加賀さんの手を握り返す。だけど、いつまでもこんな事をしている訳にはいかない。
「ごめんね……赤城君。困っちゃうよね」
加賀さんが僕の手をぱっと離すと、寂しそうににこりと微笑んだ。
「今日はありがとう……おやすみ」
小さく手を振りながら家の中へと入っていく加賀さんを僕は扉が閉まり姿が見えなくなるまで見つめていた。