映画館に着いてからは
露人くんが色々リードして
スムーズに事が進んだ。



シアター内に入ると
座席を探して座る。



「愛は……ポップコーンキャラメル派なんだね」




席に着くやいなやクスッと
笑いながら唐突に喋る露人くん。



「へ?あ、うん。露人くんはキャラメル嫌だった?」



「いいや、むしろ好き。俺めっちゃ甘党だから」



無邪気に笑いながら言う彼に
少しドキッとする。



あれ、なんかちょっとテレビに
映ってるときの露人くんと違う?



こんな無邪気な笑顔初めてみたかも……
テレビに映る時は、いつもクールで
笑い方も大人の雰囲気が漂ってるから



こんな子供っぽく笑う露人くんを
多分ファンは誰も知らない。



「それなら良かった。……そう言えば露人って芸名か何かなの?だいぶ珍しいけど」




周りに気取られないよう
小声で耳打ちすると



露人くんは一瞬真顔になって
すぐ笑顔で答えた




「本名だよ。親が離婚して母方の苗字に変わったんだ」




あっ……聞かない方が良かったかも。



「ご、ごめん。無神経な質問だったね……!ポップコーン食べよっか!はいっ!」



慌ててポップコーンを1粒掴み
露人くんの口に放り込むと
彼は少し照れたあと呆れた顔で



「愛……君はそれ天然でやってるの?だとしたら俺は、この先とても苦労しそうだ。」



「ん?えっ?どういうこ?」



意味がわからずあたふたしてると
ポンと頭が撫でられたーーーーー。