無意識に足が動いて


「………あの、大丈夫ですか?」


恐る恐る声を掛ければ
カーテン越しに動揺するような気配がした







「………………す、すみません……」



沈黙の後、返ってきたのは
いたたまれなさそうな
そんな弱々しい声だった



「……どこか、痛いとか?
先生、呼んできましょうか?」

「…だ、大丈夫です…っ」

「…」



普段の自分ならありえなかった
自分からこんな風に話しかけたりなんて
絶対しない


でも


震えてる涙声

声に滲む感情はなんだかすごく苦しそうで


放って置けなかった


でも、こういう時
どうしたらいいのか分からなくて
その場に立ち尽くしてしまう







「……。
……………少し、悲しいことがあって」



いつまで経っても
私がその場から動かないものだから

困ったようにぽつりと話すその人