すぐさまツッコミを入れたけれど、紫音は私がそばに寄っただけで、警戒心を剥き出しにしている。
なんだかバイ菌扱いされているようで傷つく……と思ったけれど、紫音なりに気を遣って離れてくれているんだろう。
一応、抑制剤は多めに飲んできたんだけれど、それでもαには強烈な作用があるみたいだ。
紫音が、なんだか高熱が出ているときみたいに辛そうで、私は思わず斜め上の発言をしてしまった。
「紫音、辛かったら、私のこと触っていいんだよ?」
「ぶっ」
思い切り吹き出す紫音に、私は心配した口調で補足をする。
「私が発情を煽ってるから紫音は辛いんだよね? 触れ合ってマシになるなら、いつでもハグどうぞ!」
「バカか」
はい!と手を広げて伝えると、バカの「バ」を思い切り強調して暴言を吐かれた。
紫音は顔を真っ赤にしたまま、結構本気で怒っている。
それから、背後にあった塀にドンッと手を突かれて、真剣な口調で囁かれた。
「ハグだけで止まるわけないだろ。俺がお前を好きだってこと、ちゃんと自覚しろ」
「う、うん、ごめんね……?」
これが壁ドンってやつか……と思いながら謝ると、ちゃんと聞いてるのかとさらに怒られた。
こんなにキレられながら告白されることってある……?
そんな会話をしているうちに、集合時間に遅れそうになっていることに気づいた。
「は! 紫音! 遅刻しちゃうよ!」
「お前がバカなこと言うせいだろ。走るぞ」
「わーん、体力温存しておきたかったのにー」
私は文句を言いつつも、紫音に腕を引かれるがままに走った。
登山行事の予定は、朝から夜まで山登りをして、山頂に着いたらログハウスに宿泊するという流れだ。
発情期は今日から始まって約一週間ほど続く。
生理みたいなものとして付き合っていくしかないのだろうと、なんとなくイメージしていた。
◯
「あ! 来た! 千帆、あんた超ギリギリじゃないの」
学校にぜぇはぁと息切れしながら到着すると、かおりんが私を見つけて手を上げた。
かおりんのそばにいたタケゾーも、「遅刻したら重りつけて歩かされるらしいよお。危なかったね」と脅してくる。
「ま、間に合ってよかった~!」
なんだかバイ菌扱いされているようで傷つく……と思ったけれど、紫音なりに気を遣って離れてくれているんだろう。
一応、抑制剤は多めに飲んできたんだけれど、それでもαには強烈な作用があるみたいだ。
紫音が、なんだか高熱が出ているときみたいに辛そうで、私は思わず斜め上の発言をしてしまった。
「紫音、辛かったら、私のこと触っていいんだよ?」
「ぶっ」
思い切り吹き出す紫音に、私は心配した口調で補足をする。
「私が発情を煽ってるから紫音は辛いんだよね? 触れ合ってマシになるなら、いつでもハグどうぞ!」
「バカか」
はい!と手を広げて伝えると、バカの「バ」を思い切り強調して暴言を吐かれた。
紫音は顔を真っ赤にしたまま、結構本気で怒っている。
それから、背後にあった塀にドンッと手を突かれて、真剣な口調で囁かれた。
「ハグだけで止まるわけないだろ。俺がお前を好きだってこと、ちゃんと自覚しろ」
「う、うん、ごめんね……?」
これが壁ドンってやつか……と思いながら謝ると、ちゃんと聞いてるのかとさらに怒られた。
こんなにキレられながら告白されることってある……?
そんな会話をしているうちに、集合時間に遅れそうになっていることに気づいた。
「は! 紫音! 遅刻しちゃうよ!」
「お前がバカなこと言うせいだろ。走るぞ」
「わーん、体力温存しておきたかったのにー」
私は文句を言いつつも、紫音に腕を引かれるがままに走った。
登山行事の予定は、朝から夜まで山登りをして、山頂に着いたらログハウスに宿泊するという流れだ。
発情期は今日から始まって約一週間ほど続く。
生理みたいなものとして付き合っていくしかないのだろうと、なんとなくイメージしていた。
◯
「あ! 来た! 千帆、あんた超ギリギリじゃないの」
学校にぜぇはぁと息切れしながら到着すると、かおりんが私を見つけて手を上げた。
かおりんのそばにいたタケゾーも、「遅刻したら重りつけて歩かされるらしいよお。危なかったね」と脅してくる。
「ま、間に合ってよかった~!」