「優星君、ひとりで歩けるよ」

「だめ、もう少しの時間でも離れたくない」

「そんなっ……んっ」

 階段を上がり切ったところで彼は私の唇を塞いだ。その後も頬や瞼にキスを落としながら寝室の隣にある客間に入った。

 ふたつある空き部屋のひとつで、ベッドとテレビといった必要最低限のものしか置いていない。
 急な来客があった時のために用意した部屋だけれど、いずれ客間は星斗と星七の部屋にするつもりだ。

 明かりを灯してセミダブルベッドにそっと私を降ろすと。すぐに優星君が覆い被さってきた。

「星奈……」

 名前を呼ばれるたびに、自分の名前が特別なものに思えてくる。

「優星君」

 同じ気持ちならいいのにと願いながら彼の名前を呼び、キスを受け入れた。

 何度も何度も唇を重ね合わせているうちに、ひりひりと痛みが伴う。それでもキスをやめてほしくなくて彼の舌に自分の舌を絡ませた。

 口づけに意識が言っている間に優星君の大きな手が、パジャマの上から胸に触れた。