近づくスピードに合わせて瞼を閉じると、静かに重なった唇。微かに彼の唇は震えていて、胸が苦しくなる。
 触れるだけのキスを落とし、優星君は「平気?」と私と気遣った。

「平気だよ。だからもっとして?」

 自ら彼の首に腕を回す。

「もう止める自信ないからな」

 切羽詰まった声で言い、今度は荒々しく唇を奪われた。

「んあっ」

 自分のものとは思えない卑猥な声に、溺れそうになる甘い感覚。彼に抱かれるたびに感じていたものを思い出して羞恥心が増す。

 だけど止めてほしくなくて、必死に彼のキスに応える。

「星奈」

 時折苦しげに自分の名前を呼ばれるたびに、胸がギュッと締めつけられた。

 次第に足に力が入らなくなってふらついた瞬間、優星君は素早く私の肩と膝裏に手を回して抱き上げた。

 お姫様抱っこしたまま彼は廊下に出て、階段を上がっていく。

 息が上がる様子もないけど、絶対に重いよね。