「ごめん、変なこと言って。俺はまだ仕事があるから先に寝てて」

 そう言って離された身体。咄嗟に私は彼の腕を掴んだ。

「星奈?」

 優星君は目を丸くさせて驚いている。だけどここで恥ずかしがっている場合じゃない。だって優星君は本音を話してくれたじゃない。
 恥ずかしさを押し殺して、不思議そうに私を見つめる彼にそっと囁いた。

「私も同じだよ」

「えっ?」

 聞こえなかったのか聞き返してきた彼を真っ直ぐに見つめる。

「私もそばにいるだけで十分だったのに、それだけじゃ足りなくなってる。……もっと優星君に触れてほしい」

 今度は彼に届くようにはっきりとした声で告げた。

「それ、ちゃんと意味をわかって言ってるのか?」

 もちろんわかってる。
 頷いたら、優星君の大きな手が私の頬を包み込んだ。

「いいのか? 久しぶりだし、怖くない?」

「うん、緊張はするけど大丈夫」

 少しの間見つめ合った後、ゆっくりと近づく距離。

「嫌だったら言って。まだ止められるから」

 嫌に思うことなんて絶対にないよ。