私もカフェに勤めている時に、よくみんなでご飯を食べに行ったりしていた。優星君は次期社長。毎日のように誘いがあってもおかしくないはず。

「私たちが優星君の仕事の邪魔をしていたらすごくつらいの。だから本当に無理して毎日早く帰ってくることないからね」

 彼の身体のことはもちろん、会社での立場などが心配で言ったものの、なぜか優星君は悲しげに瞳を揺らした。

「ありがとう。だけど無理していないし、仕事のほうも大丈夫。むしろ星奈や星斗、星七と過ごす時間が少ないと仕事も捗らなくなるんだ」

 それは私を気遣っての言葉であって、本当は違うんじゃないかと疑ってしまう。

「本当に?」

「本当に」

 力強い声で囁き、優星君は私の肩に腕を回した。彼の端正な顔がぐっと近づき、ドキッとなる。

 でも視線を逸らすことができずにいると、優星君は私を見つめたまま目を細めた。

「じゃあ星奈が俺の立場だったらどうする? 家で星斗と星七が待ってくれているのに、毎日遅くまで仕事してくる?」

「ううん、早く帰ろうって思う」

「だろ? 俺も同じ。星斗と星七が出迎えてくれると、疲れなんて一気に吹き飛ぶんだ。それに一緒に過ごせる時間は短いだろ? なにより星奈との時間を大切にしたいんだ」

 あまりに彼が優しい顔で言うものだから、なぜか泣きそうになる。

「でも星奈が俺のことを心配してくれてすごく嬉しかったよ。ありがとう」

「優星君……」