双子を起こさないようにそっとベッドから出て、一階にある彼の書斎へと向かう。一度部屋の前で足を止めて中の様子を窺う。微かに部屋の中から物音が聞こえてくる。
 小さく深呼吸をしてドアを数回ノックした。

「はい」

 すぐに部屋の中から彼の声が聞こえ、私はゆっくりとドアを開いた。

「どうしたんだ? 星奈。眠れないのか?」

 優星君は私が来たことに困惑しているようで、立ち上がってこちらに歩み寄ってきた。

「それもあるけど、いつも優星君寝るの遅いでしょ? 明日も仕事があるのに、大丈夫なのかなって心配になって……」

 チラッと彼のデスクの上を見ると、パソコンが開いてあって書類がたくさん積み重なっている。

「私たちのために無理させていない? 私ならひとりでも平気だよ? 星斗と星七にご飯を食べさせてお風呂に入れて寝かせることができるよ」

 今までだってそうだった。明叔父さんたちに助けてもらってはいたけれど、ほとんどひとりでやってきたもの。

「だから遅くなってもいいからね。それに仕事の付き合いとかもあるでしょ?」