「ただいま、星奈」

 昔から彼に抱きしめられると、ドキドキすると同時に不思議と安心感に包まれる。少しだけ名残惜しさを感じながら離れ、バッグを預かった。

 廊下からリビングまでの短い距離を、優星君に抱っこされて移動するのが双子のお気に入り。
 いつものようにすぐに抱っこしてとせがむと思っていたけど、今日は違った。なぜか双子はジーッと私と優星君を見つめてくる。

「どうしたの? ふたりとも」

「パパとママの顔になにかついているのか?」

 不思議に思いながら聞くと、星斗と星七は仲良く首を捻った。

「どーしてうちには、あかちゃんいないの?」

「せいと、けいくんがほしい」

 思いがけない質問に、私も優星君もたじろいでしまう。

 えっと、つまりふたりは弟か妹が欲しいってことなのかな? きっとそうだよね。

 チラッと横を見ると、優星君も双子が言いたいことが理解できたようで困惑している。

 こういう時はどう答えてあげるのが正解なんだろう。双子を傷つけずに納得してもらえるには、どうすればいいの?

 言葉が出ずにいると、優星君は双子と目線を合わせるように膝を折った。